文書作成日:2024/01/16

2024年4月から変わる無期転換に関する明示ルール

2024年4月から労働条件の明示ルールが変わり、すべての労働者に対し、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になりますが、これ以外にも、有期契約労働者に対して新しく追加される明示事項があります。そこで今回は、明示ルールに追加される無期転換に関連する事項と実務上の注意点をとり上げます。

[1]無期転換とは
 そもそも無期転換とは、パートタイマーやアルバイト、契約社員などの有期契約労働者について、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超える契約を締結した場合、有期契約労働者からの申込みにより、次の契約から無期労働契約に転換できるというものです。
 図のように労働契約期間が1年の場合、5回目の更新後に無期転換申込権が発生し、無期転換の申込みをすることができます。※図はクリックで拡大されます。

[2]追加される無期転換に関する事項の明示
 2024年4月からは、この無期転換申込権が発生する有期契約労働者に対して、無期転換の申込みができることを労働条件通知書で明示する必要があります。さらに、無期転換後に有期労働契約時の労働条件から変わる場合には、その内容も明示することになります。なお、その内容については別紙を添付するなどして明示することも認められています。これらの内容に係る労働条件通知書の記載例は以下のとおりです。

本契約期間中に会社に対して期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の締結の申込みをすることにより、本契約期間の末日の翌日(〇〇年〇月〇日)から、無期労働契約での雇用に転換することができる。
この場合の本契約からの労働条件の変更の有無(無・有(別紙のとおり))

[3]実務上の注意点
 実務上の注意点として2点あります。1点目は、無期転換に関する明示は、無期転換の申込みができる有期契約労働者が対象になります。有期契約労働者全員が対象になる訳ではないため、有期労働契約が通算5年を超えているか否かの管理が必要です。
 2点目は、定年後の再雇用の取扱いです。定年後の再雇用においては、1年契約を更新していくことが一般的ですが、このような定年後に再雇用する従業員も有期労働契約に含まれます。この定年後に再雇用した従業員については、労働局に申請をして認定を受けることで、有期労働契約が通算5年を超えたとしても無期転換申込権が発生しない、という特例が認められています。一方、労働局の認定を受けていない場合は、定年後に再雇用した従業員も有期労働契約が通算5年を超えると、原則通り、無期転換の申込みができることになりますので、この場合には2024年4月から変更される労働条件の明示事項に関して、無期転換の申込みができること等を労働条件通知書に明示する必要が出てきます。

 定年後の再雇用者の取扱いに関して、労働局の認定の必要性を検討し、認定を受ける場合は準備を進めましょう。

■参考リンク
厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
厚生労働省「無期転換ルールについて

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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